ワインの基本情報
ワインの特徴、おすすめポイント
シャトー・ラグランジュは、1855年のメドック格付けで第3級に選ばれた由緒あるシャトー。しかし所有者の経済的没落により、一時は荒廃した状態にありました。そんなラグランジュの運命を劇的に変えたのが、1983年のサントリーによる買収です。
欧米以外の企業では初めてグランクリュ・シャトーの所有を許されたサントリーは、買収額の3倍以上もの資金を投じて、ブドウ畑の再興と醸造設備の近代化に着手。「現代ボルドーワインの父」と呼ばれるエミール・ペイノー博士の全面的なバックアップを受け、わずか25年で「メドックのトップ10シャトーに匹敵する」と評される潜在能力を引き出すことに成功したのです。
そんなラグランジュが生み出した2020年ヴィンテージは、前年の秀逸な出来栄えに続く見事な仕上がり。ブラックカラントのリキュールやプラムを思わせる芳醇な香りに、バイオレットや甘草、鉛筆の削りくず、バニラのニュアンスが重なります。
口に含むと、豊かな果実味が層をなして広がり、肉感的でボリューム感たっぷり。濃密な果実味に生き生きとした酸味とふわりとしたタンニンがバランスを取り、軽やかな飛翔感すら感じられます。余韻はじりじりと長く続き、若くしてアプローチャブルでありながら、熟成のポテンシャルも秘めています。
この傑作を生み出したのは、2006年にシャトーに加わったマチュー・ボルド氏と、オーナーであるサントリーの長年にわたる努力の賜物。「クオリティファースト」「自然との調和」「大いなる挑戦」をフィロソフィーに、品質向上への挑戦を重ねてきた結果なのです。
カベルネ・ソーヴィニヨンを74%、メルロを24%、プティ・ヴェルドを2%ブレンド。50%の新樽で21ヶ月間熟成され、サン・ジュリアンの偉大なテロワールが存分に表現された1本に仕上がっています。